台湾に来て「空気が汚い」と感じることが多い人は多いのではないでしょうか。旅行で来るときは空気が悪いと感じてもあまり影響はないかもしれませんが、台湾に長く住んでみると身体への影響が心配になるレベルで空気汚染が気になります。今日は台湾の空気について調べてみました。
台湾の空気汚染
台湾の空気汚染の原因の6割は国内に
台湾の空気汚染の原因は中国からの汚染と考える人が多いと思いますが(実は私も今までそう思っていました)、実は原因の半分以上が台湾にあります。
台湾の空気汚染の原因の4割は中国の影響ですが、6割は台湾国内での排気ガス、火力発電、鉄鋼などの工場による空気汚染です。台湾ではスクーターが多く、交通渋滞もひどいため、排気ガスによる空気汚染は深刻です。また、台湾の電力は火力発電に頼っているのが現状です。
空気汚染の指標となるPM2.5
- PM2.5とは超微小粒子の総称
- PM2.5を正確に定義すると、大気中に浮遊するごくごく微小な粒子ということになります。PMとはparticulate matterの略であって、PM2.5というのは直径が概ね2.5μm(マイクロメートル)(1μm=1mmの千分の1)以下の超微小粒子です。目に見えないほどの小さな小さな粒子の単位であって、特定の物質をあらわすものではありません。
- 炭素成分
- 硝酸塩
- 硫酸塩
- アンモニウム塩
- ケイ素
- ナトリウム
- アルミニウムなど
- 物の燃焼などによって排出されるもの(工場から出る煤煙や自動車の排気ガスなど)
- 土壌や火山、黄砂など自然に由来するもの
- 喘息
- 気管支炎
- 肺がん
- 不整脈
臺灣政府は環境改善への対策をとっている
台湾では空気汚染が深刻な問題になっているので、政府は火力発電の主力を天然ガス発電に移行させたり、電気自動車や電気スクーターへの補助金を出したり、各地に大気汚染の観測地点を設置したりと、対策をとっています。台湾の環境保護署は、PM2.5の平均値が54μg/m3以上となる日が減少するように目標を立てています。その図が以下です。
(台湾行政院環境保護署より)
この図を見ると年々改善されていることがわかります。
空気の状態を調べるサイトもあります
世界の大気汚染というサイトで台湾の空気の状態を知ることが出来ます。
また、台湾行政院環境保護署のサイトでも現在の空気の状態を詳しく知ることができます。
空気汚染がひどい地域は高雄など台湾の西南部
2017年の記事からの抜粋ですが、台湾で一番空気汚染が深刻なのは高雄の左営の観測地点でした。2016年の観測でPM2.5の平均値が101μg/m3以上の警告が出た日数が、高雄左営(250日)、屏東県潮州(231日)、高雄前金(230日)、南投県南投(219日)、屏東県屏東(214日)ということでした。いずれも空気汚染が深刻な地域は台湾西南部に集中しています。
台北に住んでいてとても空気が悪いと感じているのですが、実は台湾全体でみると台北はこれでもましな方といえます。
高雄には工場が多い
なぜ高雄の空気汚染が深刻化というと、高雄には重工業の工場が密集しているからです。加えて、火力発電所もあるため空気汚染がひどいということです。しかし、実は南部で生産された電気は北部に送っているという現状もあります。
季節風や地形的要素も
台湾の北部は、季節風の影響で汚染された空気がとどまりににくいという特徴がある上に、雨が多いので、そこまで深刻な空気汚染にはなりません。ところが南に行くにしたがって季節風が弱まる上に、風に乗って北部や中部の汚染された空気も流れていくので、高雄での汚染が深刻化してしまいます。また、台湾の中央部には高い山脈が縦に連なっているため、東側よりも工場の多い西側の空気汚染が深刻化するという原因もあります。
季節での変化
台湾では、夏よりも秋から冬にかけて空気汚染がより深刻化します。冬場には台北でも101がかすんで一番上が見えなくなります。
住んでいる私の感想
政府は環境改善のためにさまざまな対策をとっているようですが、実際に生活しているとあまり改善があるようには思えません。空気が悪すぎて外に出るとのどが痛くなる日もあります。また、洗濯物を外に干すのがためらわれることもあります。窓をずっと開けていると網戸がものすごい黒くなりますし、ベランダも汚くなります。健康への被害も心配です…。この写真は家のベランダです。3か月も掃除しないとこのように黒くなります。
個人が対策できること
- 予報がオレンジ以上警戒の日は外出を控える
- どうしても外出が必要な時はマスクを着用する
- 家に空気清浄機を設置する
- 窓は換気程度に開け、普段は閉めておく
台湾生活で、空気清浄機は必需品だと個人的に思っています。家には3台設置しています。