日本の育児本を見ていると「出産・育児でもらえるお金」という項目が必ずありますが、台湾に住んでいて台湾で出産する場合その項目はあまり役立ちません。今日は台湾(台北)で出産・育児をする場合にもらえるお金をご紹介します。
台北で出産・子育てでもらえるお金
「助妳好孕」政策
台湾は晩婚化や経済的な理由から出生率がどんどん低下しています。物価は上昇し続けているのに給料があがらないので、台北で生活していくのは結構苦しいです。その上学歴社会なので、子供の教育にはお金が必要ということで、若者に経済的余裕がなく、出生率が低くなあるのは当たり前のことかもしれません。そのような現状があるので、政府は「祝你好運(幸運でありますように)」と同じ韻を使った「助妳好孕」という政策で出産・育児関係の補助金の強化に力をいれています。
結婚後のブライダル検査 (擴大實施婚後孕前健康檢査)
既婚でまだ子供がいない夫婦のブライダル検査に補助があります。(一回の結婚につき一度のみ受けられます。)
※政府指定の病院へ行き申し込めば費用が全額無料になります。
妊娠時のダウン症検査の補助(孕婦唐氏症篩檢)
胎児のダウン症の有無について初期または中期の検査が無料になります。
妊娠初期のダウン症検査の補助:台北市に住民票がある妊娠9週から13週の妊婦
妊娠中期のダウン症検査の補助:台北市に住民票がある妊娠15週から20週の妊婦
※どちらかを選べます。妊娠検査をしている病院で案内があると思います。
ちょっと寄り道して…台湾人の障害児への価値観
台湾ではダウン症の検査や妊娠期に検査できる障害については調べるのが普通です。
調べた結果障害がわかった場合堕胎を選択することも珍しくありません。理由は障害の子を育てていくことは経済的負担にもなり、日本のように障碍者福祉が充実していないからです。少子化で1人、2人しか生まない子供なので、障碍者ではない子を産みたいという価値観です。賛否両論はあると思います。私の意見はあえて述べませんが、台湾人はそのような価値観で、ダウン症を必ず検査し、政府も補助金を出しているという現実があることは台湾で出産育児をしていく上で了承しておいたほうがいいと思います。当たり前のようにスクリーニング検査を受けさせられてびっくりされませんように…。
出産でもらえるお金( 市民生小孩 每胎2萬元)
台北市では子供一人につき出産時に2万元もらうことができます。
※子供の戸籍を登録するときに申請できます。
出産にかかるお金
これは新生児の状況や部屋によっても変わるので、一概には言えません。私は台安病院で出産、2人部屋、無痛分娩、母子ともに4日入院という条件で30000元ほどだったように思います。(かなり前の記憶であいまいです)ですから、出産の補助金<入院費用であることは間違いないですが、部屋の選択や無痛分娩を選択しない場合、補助金は妥当な額だと思います。
子供手当(5歲以下孩童 月領2,500元)
5歳以下の子ども一人につき毎月2500元もらえます。
※子どもの育児をする人が台北市に1年以上住んでいることが条件
※子供の戸籍を登録するときに出産助成金とともにし申請することができます。
ロタウイルスワクチン接種補助( 輪狀病毒疫苗接種補助)
予防接種の中でロタウイスのワクチン接種については補助があります。
託児の補助金( 臺北市友善托育補助)
2歳以下の子を託児センターや認定保母に預ける場合に2000元~3000元の補助を受けることができます。第2子の場合には4000元~6000元に増額されます。補助金は公立か私立かや親の収入によってかわります。
4歲児の私立幼稚園補助 (設籍臺北市並就讀本市私立幼兒園之學齡4歲幼 兒就學費用補助)
107年から、台北市内に戸籍がある4歳で私立の幼稚園に通い、親や養育者も台北市にいる場合、一学期(約半年)に13660元の補助がうけられます。
※幼稚園を通して申請
※学期末まで台北市に戸籍があることが条件
台北市内の私立幼稚園の費用
一学期に13660元と聞くとずいぶんもらえるという気がしますが、台北市内の私立幼稚園の費用は12000元~20000元/月が普通なので、一学期5か月とすると補助金<<<<学費でやはり親の経済的負担は大きいです。公立の幼稚園は収入が低い家庭が優先+抽選なので、公立幼稚園に入れる子は少ないのが現状です。
5歳の幼稚園の補助金(設籍臺北市之學齡5歲幼兒就學費用補助)
5歳で公立の幼稚園に通う場合一学期5543元、私立の幼稚園に通う場所、親の収入により2543元~12543元の補助を受けられる。
※台湾では5歳で年長になります。
台北市の出産育児関係でもらえるお金は以上になります。
ちなみに台北市では2歳までは医療費が無料です。(受診時の手続きに150元はかかります)3歳からは医療費がかかります。
子供を3人産む家庭は多くないので、子供が3人以上いる家庭では、優遇措置を受けられる政策も多くあります。
これは2019年(民国108年)6月に書いている文章ですが、新しい政策が作られているので、最新の情報は台北市のHPをご覧ください。
台北で出産し、台北で子育てしている私の体験談…
私は日本に住民票を置いたまま、健康保険料を払い子供を台湾で出産しました。ですから、日本でも出産の補助金をもらいました。台湾の2万元の補助金は出産費用に、日本でもらった補助金は産後ケアセンターの費用に充てさせてもらいました。(産後ケアセンター一日8000元×10日間=80000元≒約30万円というわけです。)そしてその後も住民票を日本に置いたまま健康保険料を納め、児童手当をいただき、地域の保健師さんには事情を話し子供の検診は日本に帰国しているときに行かせていただきました。台湾では育児相談をする機関がないので(一度もしかしたら台北市の保健師さん的役割なのかな?という方から電話はありましたが、日本のような地域の検診のような制度はありません)、心配事は日本の保健師さんに相談していました。一時帰国の際に病院にかかるときも保険証があると安心だと思います。(住民票は抜いてしまって、毎回帰国時に申請するという方法も可能です。児童手当は受け取れませんが、健康保険料を払う必要もなくなります。)
台湾の産後ケアについて書いたこちらも参考になさってください。